Japanese
English
特集 手術とHyperalimentation
高カロリー輸液の実技と内容
Practice of parenteral nutrition
葛西 森夫
1
,
大橋 映介
1
Morio KASAI
1
,
Eisuke OHASHI
1
1東北大学医学部第2外科
pp.421-426
発行日 1976年4月20日
Published Date 1976/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407206473
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はじめに
わが国における高カロリー輸液法は,1970年以来完全静脈栄養研究会を母体として基礎的な問題の解明が続けられてきたが,今やその初期の模索の段階は終り,静脈栄養のみで患者の状態を長期間維持し,さらに積極的に栄養を改善したり,小児では正常な成長発育を得ようという,長年に亘る夢が凡そ実現したといえる.同時に本法の適応範囲は急速に広がりつつある.
今までは,(1)長期間経口摂取不能または不十分な症例の術前術後管理,(2)縫合不全などの消化管瘻を形成した例に絶食による消化液の分泌減少をはかる.(3)小腸広範切除例や難治性下痢症など消化管の機能が代償または回復するまでの間休ませる.などが主な目的であつたが,最近では,(4)広範熱傷などエネルギー需要の亢進しているもの1).(5)癌化学療法や放射線療法施行中の患者に高カロリーを与えることにより副作用を防止し,より強力な治療を可能とする2).また(6)腎不全患者に高カロリーを与えBUNの上昇を抑える3).(7)腸管消化吸収の因子が入らない純粋な栄養代謝の研究.など,その適応範囲は著しく広げられ,手技上の合併症もかなり避けることができるようになつた.しかし一方,代謝面での合併症はまだ避けることが難しい現況では,これを解明することが至適投与量の決定に役立つ.
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