Japanese
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特集 腹部外科のPhysical Signs
急性腹症の触診のコツ
Abdominal palpation in diagnosis of acute abdomen
秋田 八年
1
,
迫田 晃郎
1
Hachinen AKITA
1
1鹿児島大学医学部第2外科
pp.423-426
発行日 1975年4月20日
Published Date 1975/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407206221
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はじめに
急性腹症は急激に起こる腹痛を主徴とし,腹腔臓器の破裂,穿孔,急性炎症,通過障害,血行障害とこれらに伴う限局性あるいは汎発性の腹膜の反応が包括される.そしてこれに対し迅速,積極的な外科的対応が要求される.従来ややもすれば安易に"急性腹症"の診断をつけ開腹を急ぐのあまり真の診断への努力が忘れられがちであるが,これは慎しまねばならない.
診断には少なくとも病歴聴取,診察,臨床検査,X線検査など駆使し全智を投入する習慣が大切である.すぐ病変部の触診から始めるが如きは賢明な方法ではない.本項では与えられた命題に従って触診を主として述べるが視診,打診,聴診などの他の理学的所見とその総合的解析と判断が一層重要であることを強調しておきたい.例えば胃十二指腸潰瘍の穿孔が疑われるとき病歴に潰瘍症状が潜在したり,腹痛がいつ,どの部位にどんな状態で始まつたか,疼痛発現の模様と程度の聴取の資料は診断に極めて重要な示唆を与える.
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