今月の主題 腹痛の診かた・とらえかた
他科に送るべき腹痛
急性腹症
阿曽 弘一
1
,
榊原 譲
1
1北里大外科
pp.977-979
発行日 1977年7月10日
Published Date 1977/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402207275
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はじめに
"急性腹症"という言葉はacute abdomenの訳語であろうが,わが国において文献上に初めて現れたのは,昭和2年という1).現在では,臨床的に大変便利な概念であるため,一般的に安易に使われているが,その内容は各個人により多少の差異もある.文献上でも多くの定義がなされているが,現在一般には,"腹痛を主な症状とする疾患で緊急手術の必要性を強く考えるもの"と考えてよいと思われる.したがって,急性腹症の診療に際しては,できるだけ短時間に診断し緊急に治療をすることが必要であり,ここに急性腹症の特殊性がある.しかし,一方では不必要な開腹手術をすることのないように注意しなければならない.
これまでに,急性腹症に関する詳細な成書や論文は多数発表されているが,本稿では,外科医としての立場から,主として診断面を中心に,基本的な事柄を述べてみたい.
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