Japanese
English
臨床報告
門脈圧亢進を呈した巨大肝嚢腫の1例
Huge liver cyst with potal hypertension;a case report
幕内 博康
1
,
青木 春夫
1
,
伊藤 隆雄
1
,
須藤 政彦
1
,
茂木 正寿
1
Hiroyasu MAKUUCHI
1
1済生会神奈川県病院外科
pp.93-97
発行日 1975年1月20日
Published Date 1975/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407206175
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
はじめに
真性肝嚢腫は特に稀な疾患ではなく,他疾患による開腹時に偶然発見されることもときどきあり,剖検例の007〜0.53%(Brown1),Feldmen2)et al.)と言われているが,巨大となつて何らかの臨床症状を現わし,外科的処置が必要となるものは稀である.さらに,門脈圧亢進を呈するものは海外で10数例,本邦では1例23)をみるのみである.一般に本症は巨大となつても経過が非常に緩慢で,症状も上腹部腫瘤のほか,腹部膨満感,鈍痛,圧迫感などと特異性に乏しい為,従来術前診断が困難で,単発性のものでも完全摘除不能例も多いとされていた.しかし最近の診断法の進歩,肝手術手技の向上により,本症の診断,全摘除も比較的容易となつてきている.
われわれは内容3,000ml以上の巨大肝嚢腫により門脈圧亢進を呈した高齢者の1例を経験し,全摘除し得たので報告する.
Copyright © 1975, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.