カラーグラフ 臨床病理シリーズ・23
急性虫垂炎の術中肉眼所見と病理組織像(Ⅱ)
松峯 敬夫
1
,
白川 洋一
1
,
浮島 仁也
1
,
青木 幹雄
2
1東京都立墨東病院外科
2東京都立墨東病院外科病理
pp.716-717
発行日 1974年6月20日
Published Date 1974/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407206049
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症例3 穿孔性蜂窩織炎性虫垂炎 術中肉眼的所見:虫垂は太く,強直し,やや粗い表面は紅潮が著しく,血管拡張も著明である.また根部に穿孔がみられるほか,虫垂表面に多数の小結節状隆起が散在している(第8図).
組織像:虫垂のほぼ全長にわたりびまん性に好中球浸潤があるが,その程度はあまり強くない.内腔は拡張しておらず,粘膜は2,3ヵ所に小さな潰瘍を示すのみで,全般によく保たれている(第9図).以上のように,全体的な変化は比較的軽度であるにも拘らず,根部で,虫垂間膜付着部の反対側に穿孔がみられる.たまたまここにできた虫垂壁内膿瘍が,虫垂の内外に同時に破れて生じたものと考えられる.また漿膜面に多数みられた小結節は,好中球の集簇巣である(第10図).
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