Japanese
English
特集 胃全剔
適応の吟味
適正な適応
Criteria on reasonable indication of total gastrectomy
井口 潔
1
,
脇田 政康
1
,
副島 一彦
1
,
三戸 康郎
1
,
川崎 重義
1
Kiyoshi INOKUCHI
1
1九州大学医学部第2外科
pp.311-318
発行日 1974年3月20日
Published Date 1974/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407205988
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
はじめに
胃癌における胃の全剔あるいは部分切除の目的は,剔出臓器の連続部分に癌を取り残さないということにある.従つて,主腫瘍の壁内浸潤の範囲の評価をどこにおくかによつて,胃全剔になるか,部分切除になるかが分れてくることになる.問題はその基準の決め方である.癌腫の肉眼的形態—限局型か,浸潤型か—によつて安全な腫瘍縁の幅を設定することは従来とられてきたところであるが,腫瘍縁の浸潤先進部の形態を詳細にみると,遠く浸潤しているものでは,連続性浸潤のことはむしろ少なくて,大部分はリンパ管内侵襲型であり,またこのことはその症例のリンパ節転移の有無,多寡と密接な関係のあることが判つた.このやうな立場から,われわれは胃切除線の決定は,「癌腫が限局型の場合には3cm以上,浸潤型の場合には6cm以上それぞれ肉眼的腫瘍口側線から離れたところで切断すると決め,胃所属リンパ節転移のみられる場合には,とくに,上述の辺縁距離の確保に留意するようにし,特に,小彎高位リンパ節が癌性に著しく腫大し,または胃壁に癌性に癒着しているときには,上述の辺縁距離が十分確保されている場合でも,胃全剔を考慮する」ということにしている.
Copyright © 1974, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.