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特集 外科と栄養—高カロリー輸液の問題点
小児における高カロリー輸液の問題点
Problems of the high calorie infusion for infants
平井 慶徳
1
Yoshinori HIRAI
1
1順天堂大学医学部小児外科
pp.1683-1691
発行日 1973年12月20日
Published Date 1973/12/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407205936
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はじめに
最近の高カロリー輸液の普及発展が,小児の外科疾患の治療成績向上に果たした役割は多大のものがある.小児の外科疾患の治療にあたつて,術前,術後の管理が重要である事は良く知られるところであり,水分電解質補給,酸塩基平衡,呼吸循環管理,栄養管理等,各方面にわたつて,大きな努力がなされつつある,中でも,栄養障害を来たし易い外科的疾患を有する症例において,その生体にできるだけ正常な栄養状態を維持させ,その発育まで考慮するとなると,その栄養管理は大事業と言わざるを得ない.生体に対する栄養補給の経路としては,健康体の場合,経口栄養すなわち食餌がそのすべてである,しかし,病的状態にある場合には経口(腸)栄養が不可能であることが少なくなく,当然経口(腸)栄養以外の補給経路が考えられ,ここに登場するのが非経腸的栄養法,すなわち栄養輸液である.従来小児の術前,術後管理の中で,この栄養輸液の占めていた役割は微々たるもので,軽視する小児外科医も少なくなかつた.しかし,1967年のRickham1)による,新生児小腸広範囲切除症例に対する脂肪乳剤による栄養管理に関する報告,Dudrick & Wilmore2)によるlong term total parenteral nutritionと題した報告を契機として,非経腸的に完全な栄養補給を行なうという方法が全世界に普及し,種々の研究が行なわれ発展をみるようになつたのである.
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