Japanese
English
症例
空腸彎曲部の原発性十二指腸癌—大動脈内注入化学療法と照射療法併用例
Carcinoma of the third portion of the duodenum, treated by intra-aortic infusion of 5-FU amd Mitomycin C and irradiaton
三浦 健
1
,
石田 正統
1
,
阿部 秀一
1
,
室井 竜夫
1
,
笹本 和啓
2
Tsuyoshi MIURA
1
1東京大学医学部第2外科
2東京大学医学部第1内科
pp.1485-1491
発行日 1973年10月20日
Published Date 1973/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407205912
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はじめに
十二指腸の癌や肉腫はまれな疾患で報告も少ない.まれな疾患であるが故に通常の上部消化管レントゲン造影検査でも看過されやすく,診断の確定した時にはすでに進行癌となつていることが多い.開腹しても膵頭十二指腸切除術や十二指腸部分切除の行える例は少なく,またたとえ根治手術を行つても術後早期の再発が多くて遠隔成績は極めて悪い.
十二指腸癌は大半が乳頭部にみられ,乳頭上部や下部に発生するものはまれであるが,なかでも空腸彎曲部に発生するものは極めてまれで,現在までにわが国では数例の報告しかみられない.著者らは最近この空腸彎曲部に発生した原発性十二指腸瘤の1例を経験した.切除不能であつたが,腸管吻合を行つて通過障害を除くと共に積極的に化学療法を試みた.特に従来より切除不能の胃癌や結腸・直腸癌に試みてきた5-FUとMitomycin C(MMC)の大動脈内亜選択的注入による化学療法とCobalt-60照射療法併用18)20)21)の経験を本例にも応用してみた.長期の延命効果についてはまだ云々できる段階ではないが,明らかな抗腫瘍効果が認められて良好な経過を得つつあるので,ここに報告する.
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