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特集 肝癌の外科
小児の肝癌—診断から手術手技・化学療法の実際について
Liver cell carcinoma in children:practical problems on diagnosis, operative techniques and chemotherapy
長谷川 博
1
Hiroshi HASEGAWA
1
1国立がんセンター外科
pp.365-378
発行日 1973年3月20日
Published Date 1973/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407205767
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はじめに
小児の肝腫瘍は小児外科の急速な発達に伴つて近年特に注目されている疾患であり,種々の興味ある特徴が報告されている.その中でも小児の原発性肝癌は,特に臨床的,代謝的,病理学的,免疫学的などの点で多彩で興味溢れる疾患であり,山極1)2)が既に明治43,44年に本邦第1,第2例を報告しているように,胎生期の肝の発達過程にみられる組織所見に類似しているものが多い.したがつてその呼称も小児肝癌,肝芽腫,hepato-blastoma,embryonal hepatoma,primary cancer of the liver in infancy and childhoodなどといわれ,成人の肝癌とは種々の点で異なるものである.また頻度的には,財団法人がんの子供を守る会・治療研究委員会による小児悪性新生物全国登録3)4)5)にみられるように,1970,1971年では,神経芽細胞腫,Wilms腫瘍に続いて,小児の悪性固形腫瘍の第3位を占めており,登録例だけで1年間に日本全国で30名弱となっている.また性比は,成人の肝癌と同様,男にやや多く3)4)5),文献によつては男女比は2倍以上(16:56),55:2010))であるとされているが,同率とみるものもある9)12).
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