Japanese
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特集 末梢血管の外科
四肢動脈瘤—診断の要点と最近の治療法
Aneurysms of the extremities
大原 到
1
Itaru OHARA
1
1東北大医学部第2外科
pp.1551-1559
発行日 1972年11月20日
Published Date 1972/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407205704
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はじめに
四肢動脈瘤の手術は血管撮影の普及と血管外科に対する関心のたかまりと相まつて,症例報告も次第にましてきたが,わが国では欧米の諸施設の如く,1ヵ所で50例以上の報告例を行なつている所はない.例えばCrawford等1)は8年間に105例の動脈硬化性膝窩動脈瘤を経験したと述べ,Ki-nmonth等2)は下肢動脈に発生した87例を述べておる.このことは彼我の血管疾患の発生頻度の相違,即ち動脈硬化性血管疾患の少ないことや,ナイフや銃丸による血管損傷が少ないことも原因としてあげられよう.
しかしながら現在では診断の目的で動脈血を採取する為動脈を頻回に穿刺したり,心疾患や腹部内臓疾患の補助診断として,動脈に種々の種類のカテーテルを挿入して動脈撮影を行なう等,動脈に対する侵襲はこの数年間飛躍的にふえ,これが原因となつた動脈瘤の発生もましておる17).昭和41年の稲田等3)の四肢動脈瘤の報告によれば15症例中5例,33%が動脈切開,動脈注射,動脈穿刺等を原因としてあげてをる.一方ではまた開心術の際,人工心肺の装着による動脈切開修復後の動脈瘤の発生,あるいは血行再建術後の動脈瘤発生等が注目される.Spratt等4)は1967年,33例の下肢に発生した仮性動脈瘤中外傷に起因せるものは7例,外科手術後に発生したものは実に26例,78%であつたという.
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