Japanese
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特集 日常外科の総点検・Ⅱ
四肢骨折・脱臼の救急処置の実際
The first aid and managements of fresh fracture and dislocation in extremities
平川 寛
1
Hiroshi HIRAKAWA
1
1中国労災病院整形外科
pp.589-596
発行日 1972年5月20日
Published Date 1972/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407205598
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はじめに
表題の原稿を依頼された時,その内容についていろいろな項目を考えたが,まず最初に頭に浮んだことは開放骨折の処置であつた.
Watson-Jonesの著書Fractures & Joint in-juries28)の開放骨折の項の冒頭にのつているPer-civall Pott(1714〜88)の逸話を思いだしからでもある.抗生物質のなかつたこの時代の開放骨折はしばしば化膿し,化膿すれば運が良くても切断,最悪の場合は敗血症を起こして死亡したものが多いと言われている.ところがこのPott麻痺で有名な外科医は冬のさなか落馬して脛骨骨幹部の開放骨折をうけた時に患肢を誰にもふれさせず,寒い道路に横たわつて安静を保ち,迎えの者を待つて病院にはこばせ,適切な処置をしたために切断をまぬかれたと言う.
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