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骨折,脱臼
立岩 邦彦
1
1湯河原厚生年金病院整形外科
pp.849-852
発行日 1977年11月10日
Published Date 1977/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552103877
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理学療法,作業療法について詳細に解説した骨折,脱臼は余り見当らない.むしろ理学療法,作業療法の教本を繙いた方が適切であろう.骨折の治療はある期間の整復位固定を必要とする.この固定期間が長過ぎれば,関節の強い拘縮を起し,短か過ぎれば骨の癒合に失敗する.骨折癒合に失敗すれば,さらに長期の固定や,手術,骨移植等を必要とし,関節の拘縮は倍増する.つきつめていえば,最初からギブス固定のいらない骨折治療法はないか?―大腿骨骨幹骨折に対するキュンチャー髄内釘,AOプレートによる圧迫副子法,膝蓋骨や肘頭骨折におけるZuggurtungs Methodとか,この目的にそった手術手技,金属材料の開発は,近年目覚しいものがある.骨折が癒合したと同時に関節可動域は正常に保たれたまま直ちに社会復帰できるのは骨折治療の理想ではあるが,そのことをのみ強調して手術―強固なる内固定―を正当化するのは正しくない.強固なる内固定に依存して,骨の生物学的癒合を無視すれば,骨の破壊によって報われる.
物理的な固定力を越えない限度での関節可動域運動(Assistive,Active)から癒合の度合に応じてのExercisc(Active,Resistive)により筋力の低下を防き,関節可動域の維持を図るのが本筋である.
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