Japanese
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講座・4
臓器冷凍の理論と応用—Ⅳ.低温灌流保存
Current problems of tissue and organ banking in frozen state
隅田 幸男
1
,
八木 博司
1
Sajio SUMIDA
1
1国立福岡中央病院心臓血管外科
pp.1639-1646
発行日 1971年10月20日
Published Date 1971/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407205462
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はじめに
移植免疫および組織適合性に関する最近の進歩はきわめて著しく,これに伴つて,臓器移植ことに腎移植の手術成功率は著しく向上してきた.しかし,臓器移植を行なう場合,donor源の確保はきわめて重要な問題であり,living donorに依存する限り数多くの制約があるため,屍体臓器の活用に関する研究は,古くから多くの関心をもたれながらも,移植免疫学の進歩に比べて,今日はるかに立ちおくれた状態にある.その理由として,生体内諸臓器は阻血障害に対してきわめて弱く,不可逆性変化を起こし易いこと,および前章までに述べた如く,臓器保存に関する低温生物学が未だ十分発達していないことによるものと考えられる.
しかし,臓器移植ことに腎移植の臨床例が増加するにつれて,屍体臓器活用の必要性はきわめて高くなつてきており,このような観点から,現時点で試みられている臓器保存の現況を展望することは意味あることと考えられる.
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