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特集 今日の外傷—外傷患者の初診と初療
Ⅳ.胸部外傷
心臓・大血管損傷の診断と治療方針
Diagnosis and surgical treatment for cardiovascular injury
麻田 栄
1
,
岡田 昌義
1
Sakae ASADA
1
1神戸大学医学部第2外科学教室
pp.1249-1256
発行日 1971年8月20日
Published Date 1971/8/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407205416
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はじめに
戦後26年目を迎えた今日,社会の近代化ならびにスピード化が進むにつれ,戦傷といれかわつて,交通事故をはじめ災害および傷害事件が急激に増加している.胸部外傷の発生頻度は,本邦ではまだ5〜10%と低いが,欧米のそれは30〜40%1)と高く,わが国でも早晩このような情勢になるものと推測される.胸部外傷の中では,胸壁損傷がもつとも多く,次は肺・気管支損傷で,心臓・大血管損傷は第3番目に位しているが,生命の予後と直接関係が深いので,その処置は,迅速かつ確実であることが強く要求される.ここに,少数例ではあるが,著者らの心臓・大血管損傷の経験を紹介するとともに,内外の知見について述べ,本症の診断と治療のための御参考に供したいと思う.
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