患者と私
医師と患者の結びつき
長洲 光太郎
1
1関東逓信病院外科
pp.1914-1915
発行日 1970年12月20日
Published Date 1970/12/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407205278
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広島の原爆写真を日本に売り込もうとして肘鉄砲をくつて面くらつたエノラゲイ号乗組パイロットの話が最近あつた.アメリカ人の認識不足,無知に唖然とした.アメリカ人はドライに割切つた考え方をするのだといつて弁護するようなおつちよこちよいの日本人さえあらわれた.この写真は5000ドルぐらいの値うちはあると思つたなどとそのパイロットはいい出すのである.まことに恐れいった.しかし--
これに似たことを医者が患者におしつけていないと断言できるだろうか.私は少し心配である.「私の手術は10万円ぐらいの値うちはあるだろう」などといい出すのである.学園紛争にしたところで,医師や医学生の身分のことが主な原因であつて,医療の本質論からの騒動ではないから,私としては心配である.
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