Japanese
English
特集 Silent Disease
乳腺のSilent carcinoma
Silent carcinoma of the breast
久野 敬二郎
1
Keijiro KUNO
1
1癌研究会附属病院外科
pp.1831-1835
発行日 1970年12月20日
Published Date 1970/12/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407205267
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はじめに
乳腺のoccult carcinomaあるいはsilent car-cinomaとは古典的には,臨床上乳房に異常所見を認めないで,腋窩リンパ節転移を認めた乳癌をさしている.一番多く用いられている名称はoccult carcinomaであり,Silent carcinomaあるいはhidden carcinomaともいい,latent car-cinomaとゆう名称を用いている人(Lewison)7)もいるが,普通latent carcinomaは臨床的の癌に相対して用いられ,前立腺癌が長期間無症状で存在し,剖検で初めて発見されるようなものに用いられている.
乳癌は殆どすべての例が乳房に腫瘤をふれる.原発病巣の大きさと腋窩転移の有無とは強い関係がある.しかし多くの症例の中には乳癌は大きいが腋窩転移のないものや,乳癌は小きいが腋窩転移の大きいものがある.この両者の間には移行があるが,後者の極端な例が腋窩転移をふれるが原発巣をふれないsilent carcinomaといえる.一般に前者は悪性度の低いもので,後者は悪性度の高いものといわれている.
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