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特集 進行胃癌の化学療法
進行胃癌に対する化学療法の実際—治癒切除例に対する併用化学療法
Adjuvant chemotherapy to curative surgery for gastric Cancer
近藤 達平
1
,
今泉 宗久
1
,
市橋 秀仁
1
,
亀井 秀雄
1
Tatsuhei KONDOH
1
1名古屋大学医学部第2外科
pp.1131-1137
発行日 1976年9月20日
Published Date 1976/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407206579
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はじめに
わが国では胃癌は全癌患者の約半数近くを占めており,胃癌に対する治療法を確立することは極めて重要な課題である.現状では胃癌を根治する手段は早期に発見して外科的に切除することが第一であるが,術後の再発はかなり多く,治癒手術例の約40%が癌の再発で5年以内に死亡している1).手術に併用して癌化学療法を施行すれば,手術時撒布された癌細胞あるいは取り残された癌細胞を根絶して,転移,再発を防止できるという考えのもとに,胃癌に対する補助化学療法が施行されてきたが,必ずしも十分な成果をあげえなかつた.その理由は外科療法および化学療法の効果の背景となる宿主の免疫能に未解決の点が多いことが一つの大きな原因であろう.従つて,胃癌の根治手術患者に従来の化学療法を効果的に併用し,担癌宿主の抵抗性や癌の細胞性免疫を高めうればより強く癌に対抗でき,その治療成績をさらに向上させることができるであろう.本稿では胃癌の治癒切除例に併用してわれわれが行なつてきた補助化学療法ならびに補助免疫化学療法について,その成績および副作用を中心に考察する.
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