Japanese
English
特集 特殊な輸血とその現況
Cryoprecipitate
Cryoprecipitate:studies on its preparation procedure and clinical application
安部 英
1
,
若林 邦夫
2
,
吉田 朔也
3
,
池森 亨介
4
Takeshi ABE
1
1東京大学医学部吉利内科教室
2東京大学医学部石川外科教室
3東京大学医学部口腔外科教室
4東京大学医学部物療内科教室
pp.65-72
発行日 1970年1月20日
Published Date 1970/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407205015
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はじめに
凝血障害を基因とする出血性疾患のなかで凝血因子を先天的に欠如するものに対しては,蛋白質あるいはそれの代用物質の人工的な合成が未だ不可能な現在にあつては,やはり輸血あるいは輸血漿など血液そのものを患者の血中に注入する方法で,最も確実かつ迅速な効果をあげることができる.このような先天性凝血障害のなかでも血友病は,その患者数が多く,障害の程度も強くて,しかも最近は出血の予防ないし治療法が進歩したため,患者の高年生存者数が増して医療の対象となる機会もとみに増加してきた.またこの血友病もその欠如する凝血因子の種類により,血友病A(第Ⅷ因子欠乏症)と血友病B(第Ⅸ因子欠乏症)とに分けられるが,その比は大体4:1ないし5:1といわれ,血友病Aに対する出血管理の重要性がましてこの凝血第Ⅷ因子(antihemophilic globu-lin:AHG)の補給が治療の中心となつてきた.たしかにこの因子は正常血液中には十分含まれているので,全血または血漿を輸注すれば,補給ができるのであるが,正常血液中に含まれる濃度を100%としても,その量には限界があるので,もしこの因子を全く含まない患者に輸血してその血中濃度を正常血液の20%程度に上げようとすると,少なくとも患者が固有にもつている循環血液の4分の1量の正常血液を輸注しなければならないこととなる.
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