今月の主題 出血傾向の新知識
出血傾向をみたとき
大人の出血
安部 英
1
1帝京大第1内科
pp.898-899
発行日 1975年5月10日
Published Date 1975/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402206027
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大人における出血傾向の部位と型式,その頻度
大人の出血傾向はまことに多岐多様である.わが教室が開設されてから3年,出血傾向が病態の生役あるいは生死の鍵を握るものとして注目された症例は少なくとも200名を下らないが,これら出血の部位や型式はまちまちで,種々の形の出血が同時に起こってくることがしばしばである.いま重複を許してこれら症例の出血を統計すると,最も多いのは紫斑(点状出血petechia,斑状出血ecchymosis,び漫性出血suggillationを含めて)で大むね55%を占め,血尿がほぼこれに同じく(約50%),ついで口腔(主に歯齦)出血,鼻出血(合わせて約45%),吐,喀血(約30%),下血(20%),性器出血の順である.
このほか出血が外部には直接現れず,関節内や筋肉内(15%),皮下,肋腹膜腔(合わせて10%前後)あるいは脳内ないし脳膜下に出血として認められるもの(15%)も少なくない.実地臨床ではこれら各出血の部位や型式により,その出血がどの臓器,組織から起こったものか,またいかなる要因ないし病的変化によって起こったものかを判定することが必要で,これにより適応する治療方針を決めることができる.
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