Japanese
English
講座
循環量維持としての輸液—1.循環量維持剤
Infusion for maintaining circulating blood volume
大谷 五良
1
ÔYA Gorô
1
1三重厚生病院外科
pp.1717-1722
発行日 1969年12月20日
Published Date 1969/12/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407205004
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
Ⅰ.循環量維持剤
出血により人体が重篤な状態におちいる,ついには死亡するという事実は古くより知られており,このような状態を一般に出血性ショックと呼んでいる.出血性ショックの最も重要な原因は「血球の喪失」ではなく,「血漿の喪失」すなわち血液循環量の減少であることは第一次世界大戦当時よりすでに確認されている.
出血性ショックに対しては輸血が最も効果のある治療法であることは論をまたないが,単に循環血漿量を増す液体,生理食塩水やリンゲル氏液などを注射してもかなりの効果がみられ,輸血実施の困難な第一次大戦当時にはこれらの晶質液が出血性ショックの治療法として盛んに用いられた。しかしながら晶質液は注射された後,比較的短時間内に循環より消失し,循環量増加の効果がうすいので,これに代わるものとして血漿とほぼ等しい膠質浸透圧をもつ膠質液が登場してきた.古くは骨性ゲラチン,アカシヤゴム,ポリビニールアルコール,ペクチンなどがあり,最近ではデキストラン,ポリビニームピロリドン,凍結乾燥血漿などがある.
Copyright © 1969, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.