患者と私
医は衣なり
安藤 正孝
1
1九州労災病院
pp.412-413
発行日 1969年3月20日
Published Date 1969/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407204817
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整形外科医
私の専攻は整形外科であるが,かつてある骨折の患者さんを診療している間に,だんだん親しくななつて,ある日こんな質問を受けた.「先生私共は怪我をしたら外科に行くものと思つていましたが,整形外科には骨折の他,いろいろの患者が来るのですね.整形外科は鼻を高くしたり,二重眼瞼にしたりするところかと思つていました.一体整形外科ではどんな病気を扱つておられるのですか」.私は次のように答えた.「整形外科では,姿勢および運動器の変形と機能障害を取扱つています.つまり,骨骼,関節系統だけでなく,神経,筋系統の広汎な領域にわたつており,また,災害外科と切つても切れない関係にあつて,怪我をした時は,頭部,胸部,腹部等の場合以外は大低整形外科に来て頂けばよいわけです.その他,先天性の異常,義肢装具についての相談等も受けますし,肢体不自由者救護事業や,運動医学についても勉強すべきだと考えています.ちなみに,二重眼瞼にしたり,隆鼻術をしたりするのは,形成外科という分野ですが,よく混同されるのですよ」.現在では整形外科に対する一般の認識は高まつて来たが,なお未だ美容成形と混同される場合が少なくない.
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