Japanese
English
論説
ムチうち症二,三の知見
Some new findings about whiplash injures
渋沢 喜守雄
1
,
小川 喜一
1
,
大田 早苗
1
Kishuo SHIBUSAWA
1
1国立王子病院
pp.419-426
発行日 1969年3月20日
Published Date 1969/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407204818
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はしがき
「ムチうち症」,「むち打ち損傷」,「いわゆる鞭打ち型損傷」などという表現は,諸学会・諸学者の最も嫌い軽蔑するところであり,いやしくも研究者の会合において,かかる表現を行なえば良識さえ疑われるかの傾向がある.アカデミシヤン,ペダンティストは「頸部症候群」,「頸部捻挫」,「頸肩腕症候群」等々の表現法を用いて自己満足をおぼえている.
われわれは,昭和38年からこの方面の仕事にボツボツ取りかかつたにすぎないが,その頭初から今日まで一貫して,本症は決して,「頸部症候群」云々で十分に表現しうる傷害ではないことを,科学技術庁,厚生省からの指定研究において,常に強調してきた.ここに,本症が「頸部症候群」云々では不可なる知見を報じ,日本津々浦々女子供までがつかい,そして恐れている「ムチうち症」という表現の方がはるかに優つていることを強調したい.「ムチうち」とは何というユーモラスな,そして多少のアイロニーをふくめた,全身傷を表白するにふさわしい語であろう.
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