救急処置講座・4
ガス中毒の救急処置
白石 彰
1
1東邦大学公衆衛生学科
pp.69-71
発行日 1962年2月15日
Published Date 1962/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661911572
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I.はじめに
一般にガス中毒といわれる場合には一酸化炭素中毒があげられます。一酸化炭素はすべての炭素含有物の燃焼時には必らずといつてよいほど発生するガスで,無色,無臭であることが特徴であります。また危険性が大きいことでもあります。
毎年冬になりますと新聞紙上にガス中毒の記事がひんぱんにみられます。これは暖房用の石炭,木炭,練炭,あるいは燈用ガス等の使用上の不注意によるガス中毒によるものです。その他,石炭を多量に使用する職場では多量の一酸化炭素が発生しますし,煙草の煙,火事や爆発の現場等で多数の人が集団的に中毒した例もあります。火事の場合の焼死例はそのほとんどが,一酸化炭素中毒で倒れた後に焼けた場合が多く,数年前の桜木町の国電の火災では大多数の人は一酸化炭素中毒で死亡したものだそうです。職業的な中毒例では工場,鉱山の石炭ガス燃焼ガスによるもの,自動車の運転手,汽車の機関手,交通巡査など,排気ガス,その他で一酸化炭素中毒を起します。したがつて一酸化炭素中毒は相当広範囲にわたつて危険を及ぼす可能性があります。
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