Japanese
English
論説
腹部外傷の診断と治療—とくに閉鎖性損傷例について
Emergency diagnosis and treatment for abdominal injury, especially subcutaneous injury concerned
亀田 長良
1
Nagayoshi KAMEDA
1
1神戸港湾健康保険組合神戸港湾病院外科
pp.1633-1638
発行日 1968年10月20日
Published Date 1968/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407204716
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はじめに
交通事故の激増と各種産業災害の多発を主因として,わが国では近年とみに外傷患者が増えてきている.諸家の統計1)2)3)4)5)6)7)8)では受傷部位別に見た場合四肢外傷が最も多いことは一致した見解のようであるが,他方受傷後数時間ないし1〜2日間に死亡するような重症例では頭部,頸部,胸部外傷とともに腹部外傷もまた重要な意味を有している.肝,脾,腎等の害質性臓器の損傷による出血と,胃,腸管等の管腔臓器の破裂による急性汎発性腹膜炎が本外傷のもたらす基本的な病像であることに異論はない.しかし第一線の外傷診療に当つて搬入される重篤外傷患者のfirst aidを通じ腹部外傷9)10)に対する診療方針のすすめ方,とくに全身ならびに局所々見の把握,手術適応の決定,つまり保存的療法の限界等の点については相当の困難性があり留意すべき点が多いのである.以下,私等は労働災害例を中心に救急外科的立場から自験例を通じて閉鎖性腹部外傷の診療をかえりみ,検討を加えて報告する.
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