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特集 木本誠二教授退官記念特集
手術成績からみた胃癌治療の適応と限界
Surgical treatment of gastric carcinoma, with special reference to the indication and the limitation for surgery based on our follow-up results.
坂本 啓介
1
,
三浦 健
1
,
秋山 洋
1
,
豊島 範夫
1
,
本田 善九郎
1
,
豊田 忠之
1
,
榊原 譲
1
,
茅野 嗣雄
1
,
奥山 正治
1
Keisuke SAKAMOTO
1
1東京大学医学部第2外科教室
pp.948-958
発行日 1968年6月10日
Published Date 1968/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407204620
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はじめに
戦後の20年あまりのめざましい医学の進歩にともなつて,外科の分野でも,つぎつぎに新らしい治療法が開発され,心臓,血管疾患が内科から外科に近づき,結核は外科から遠ざかつた.戦前と戦後では,手術の対象となる疾患も,適応も,術式も,すつかり変つてしまつた.しかしこのいちじるしい進歩のなかにあつて,癌だけが頑強に抵抗を続けている.
胃癌に関しても,なるほど,診断技術は進み,手術術式は改善され,手術死亡率も減少してきてはいるものの,胃癌患者全体の予後をみると,必ずしも飛躍的に向上したとはいえない.現在でもなお,胃癌患者は,その10%前後が,外科手術によつて救われるに過ぎない.癌の化学療法や,放射線治療が胃癌に関する限り,なお補助的手段に過ぎない現在,その手術の適応の決定,術式の選択が,直接患者の予後を左右する点で,われわれ外科医の責任は重い.
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