Japanese
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特集 木本誠二教授退官記念特集
人工腎
Artificial kidney
石井 淳一
1
,
入江 邦夫
1
,
高垣 俊
1
,
飯島 恒司
1
,
土岐 秀典
1
,
太田 秀男
1
,
渡部 照光
1
Junichi ISHII
1
1昭和大学医学部外科教室
pp.812-819
発行日 1968年6月10日
Published Date 1968/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407204605
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はじめに
近年,エレクトロニクスや高分子材料が医療の分野に導入され,人工心臓,人工血管,人工腎臓などの,いわゆる人工臓器の研究が飛躍的な進歩をとげた.ことに人工腎臓に関しての研究は古くから行なわれ,1940年代にはKolffらが臨床用装置を作成し臨床的に応用した.その後,多くの研究者によつて各種の設置が考案,あるいは改良されて腎不全や薬物中毒などの有効な治療法として一般の認識されるところとなった.
現在広く使用されている装置は,透析能率も良く,優れた臨床効果がえられ,一応完成の域にあると思われる.しかしながら,適応となる疾患の病態によつて,人工に腎臓の応用意図に多少異なつた意義を含むことを理解する必要があろう.いいかえれば,急性腎不全のごとき可逆性疾患に行なわれる血液透析は根治的療法としての意義をもつている.また,不可逆性で,しかも進行性病変を示す慢性症に対して,1960年Scribnerが,Per—manent Shuntによる間歇的血液透析法を発表したのを契機として,最近では1年余にわたる長期反復透析例の報告がみられ,血液透析は慢性症の治療法としても意義のあるものとなつた.しかし,この治療システムにおいても,患者は,常に専門医の管理下に制約された生活を送らねばならない.また経済的負担,精神的不安がきわめて大きく,真の意味での根治的療法とはいい難い.
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