Japanese
English
方法と装置
DL—型人工腎臓について
D. L. type artificial kiduey.
稲生 綱政
1
,
石井 淳一
1
,
飯塚 紀文
1
,
世古口 徹
1
,
古川 俊隆
1
,
小池 正
1
T. Inao
1
,
J. Ishii
1
,
N. Iizuka
1
,
T. Sekoguchi
1
,
T. Furukawa
1
,
T. Koike
1
1東大木本外科教室
1The 2nd surgical department Tokyo University.
pp.479-485
発行日 1958年6月15日
Published Date 1958/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404200640
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はしがき
われわれは数年来,セロファンチューブによる人工腎臓に数多くの改良を加え,ゲル状セロファンチューブ創作に始まる木本外科型並列完全閉鎖循環式人工腎臓を完成した。これに関してはすでに数回発表し,また臨床的応用も70例に達している。木本外科型人工腎臓の完成によつて,透析能率の改善,体外循環血液容量の縮小,その他欧米の諸装置に比して更に性能を向上せしめ得たものと考えていた。しかし,本装置もなお能率の向上,操作の簡易化その他の目的で,全面的に改良し得ることを知つた。これがDL—型(dog lungの意)人工腎臓である。
すなわち,動物臓器の人体外における一時的な応用を企図し,われわれは正常犬の肺を人工腎臓装置の透析部分に応用するに至つたのである。このような構想に関して,われわれはすでに昭和30年来実験を続けて来たもので,透析効果はほぼ満足すべきものであることを知りながら,たとえ一時的にもせよ,異種動物臓器の中を人体の血液で潅流することに対して危惧の念にかられ,その臨床的価値を認め得ぬままになつていた。たまたま1956年Campbellらがイヌの肺を人工心肺の酸素化装置として心臓手術時に用い,生体に全く無害であると云う報告に接し,われわれもはじめてイヌの肺を用いた人工透析装置(DL—型人工腎臓)の臨床的応用を試み,その価値を充分に認め得たのである。
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