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ショックにおける循環系の反応様式—方法論としての"外乱法"のアナロジー
鰐淵 康彦
1
1東京大学医学部第2外科
pp.1608-1609
発行日 1967年11月20日
Published Date 1967/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407204462
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最近,わが国における医学教育制度や,大学の医局制度の問題が大きくクローズアップされつつある,ところが,その中のインターン問題一つを取上げてみても,決して今始つたばかりの真新しい問題ではなく,この制度の成立当初からすでに,その不備,矛盾が論じられてきたものであり,インターンを経験してきた医師のすべてが知つているはずの,あるいは少なくとも十分感じているはずの問題である.毎年同じことを繰返し繰返し問題にし,毎年同じような反応しか起こさなかつたこれらの問題が,なぜにこのたびは,かくも大きな反響を呼び起こしているのであろうか.これに対する一つの見方として,従来の運動が,矛盾を感じながらも,何となくその制度に適応してしまつた人々が中心であり,一種の平衡状態の中での運動であつたのに対し,このたびのそれは,この平衡状態の外にある学生が中心となつて,この平衡状態そのものを外から揺り動かそうとしているためであると考えることができる.真の平衡であるか,見せかけの平衡であるかを判別するには,もちろん状態そのものを綿密に検討していくことによつても可能であろうが,それよりもむしろ,この平衡状態そのものを外部から積極的に乱してみる方が手取り早いことが多い.見せかけの平衡は必ずどこかに無理があるはずであり,むりやりこれを攪乱してやれば,きつとそこに破綻が生ずるであろう.
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