Japanese
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特集 肝腫瘍外科の課題
進行性肝癌の治療
Surgical treatment for advanced cancer of the liver
土屋 凉一
1
Ryôichi TSUCHIYA
1
1京都大学医学部第1外科
pp.1551-1558
発行日 1967年11月20日
Published Date 1967/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407204454
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はじめに
京大第1外科における,昭和26年より現在に至る原発性肝悪性腫瘍症例は,第1表に示す如く27例である.この中,手術し得ず死亡したChola-ngiomaの1例を除き,26例に開腹手術を施行した.施行せる手術術式は,根治的肝切除,姑息的肝切除,単開腹,さらに門脈枝結紮,肝動脈結紮に分けることができるが,根治的肝切除を施行た得たのは5例で,手術症例の19.2%にすぎなかつた.(第2表)
根治的肝切除とは,腫瘍が1葉に限局し,腫瘍を含めた肝葉切除ができ,残存肝に転移,浸潤の認められないものである.姑息的肝切除は,主腫瘤は切除し得ても残存肝に明らかな転移または浸潤の認められるものである.実際には,症例のすべては主腫瘤が左葉にあり,中葉または右葉に転移あるいは浸潤があるにかかわらず,とにかく左葉切除が施行された.単開腹とは,肝腫瘍に対してなんら侵襲を加え得なかつたものであり,脾腫を有し門脈圧亢進症状を呈する症例に摘脾を行なつたもの,あるいは十二指腸狭窄症状のために胃空腸吻合を行なつた症例も含んでいる.これらの症例の肝腫瘍の状態は,腫瘍がびまん性に肝全体におよんでいるもの,または結節性腫瘍が多発性に肝全体に発生しているもの,また主腫瘤は右葉および中葉のほとんどを占め,しかも左葉にも散在性に転移の認められるもの,さらにまた肝より後腹膜または横隔膜へと浸潤高度のものなどであつた.
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