手術手技
胃切除術六題(その4)—単純性胃全剔術
中山 恒明
1
,
織畑 秀夫
1
1東京女子医大消化器病センター
pp.413-417
発行日 1967年3月20日
Published Date 1967/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407204267
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今回は,胃全剔手術の要点についてお話してみたいと思います.皆さんもご存知の通りに,約20年前までは胃全剔術という手術は,もつとも熟練した外科医によつてさえも,50%以上の手術の死亡率があるという手術でした.したがつてこの手術は一般に開業の外科医の皆さんによつて行なわれるというようなことはなくて,大学の教室としても特に選ばれたいくつかの教室がこれを行なつたに過ぎません.例えば九大の後藤外科であるとか,京都の鳥潟外科であるとか,千葉の瀬尾外科であるとかです.今日では私自身が種々の工夫をいたしまして,その工夫の要点さえ皆さんがお守りになれば,普通の胃の切除術と同じように容易にこれは施行できます.その点をこれから述べたいと思います.
まず,対象となる疾患が主として小彎部から噴門部にかけての胃癌で,胃癌研究会の分類によりますと,C(噴門側の1/3)とM(中央の1/3)に比較的大きな癌があるという場合です.ここに従来行なわれたいくつかの形の胃全剔の形を示しますと,第1には,食道と十二指腸とを吻合する方法,また十二指腸は塞いで,食道と空腸とを吻合して,しかも空腸空腸を吻合するBillroth-Ⅱ法と似た方法,また特殊な形として友田教授の工夫した友田氏法であるとか,瀬尾教授が工夫した食道と十二指腸の間に空腸の一部を有頸移植する方法,またルーワイの方法,それから最近私が工夫したいわゆるβ吻合による方法などがあります.
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