手術手技
胃切除術六題(その2)—十二指腸潰瘍に対するBillroth-Ⅰ法(中山法)
中山 恒明
1
,
織畑 秀夫
1
1東京女子医大消化器病センター
pp.101-106
発行日 1967年1月20日
Published Date 1967/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407204215
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前回は,胃潰瘍に対する胃切除術について,書きましたが,今回は十二指腸潰瘍について,書いてみたいと思います.十二指腸潰瘍も胃潰瘍の場合とまつたく同じく良性疾患でありますので,この場合も必ずしもリンパ節,大網などを一緒に剔出する必要はありません.ただ潰瘍が十二指腸部にありますので,非常にしばしば在来はその部分を残した,いわゆるFinsterer Ausschalt-resektion(幽門部曠置胃切除術)というようなものが行なわれました.しかし私(中山)が20年前に考え出した,いわゆる後壁固定による胃切除術を行なえば,ほとんどの十二指腸潰瘍にBillroth Ⅰ型の胃切除術を安全に,しかも容易に行なわれるようになりました.したがつて,その方法についてこれからお話します.
手術手技上の重複を避けるために,第1回目に述べた,いわゆる胃の分離の方式は,できるだけ簡単に記載します.この場合ももちろん胃の動脈の解剖は良く知つておらねばなりません.私はこの場合も順序として(第1図は解剖図,第2図は重要血管結紮部位)脾臓の傍の短胃動脈の部分で大網を開いて,そして横行結腸側の大網を動脈留針によつて糸をかけて結紮し,胃側の大網はペアン止血鉗子をかけて,間を切断します(第3図).次に胃ならびに横行結腸を別々に特ち土げて,いわゆる胃横行結腸靱帯を剥離します(第4図).
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