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外科の焦点
合成代用血管開発の趨勢
Recent studies in development of prosthetic vascular grafts
田辺 達三
1
Tatsuzô TANABE
1
1北海道大学医学部杉江外科
pp.313-320
発行日 1967年3月20日
Published Date 1967/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407204247
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合成代用血管移植後の変化
1952年Voonhees等がはじめて動脈欠損部の修復にVinyon-N clothを用いて以来,多数の合成線維材料が血管外科の分野に導入され検討されてきた.特に1957年DeBakeyおよびEdwardsにより開発されたknitted Dacronおよびwoven Teflonはそれらのすぐれた特性により広く応用され,幾多の画期的手術を可能とすると共に今日の輝しい血管外科の発展をもたらしてきた.
しかし一方においてかかる代用血管移植に伴ういろいろな合併症を含め,移植片の運命についての詳細な検討もまた重ねられ,より理想的な代用血管の検索も続けられてきた.一般に生体に異物を応用するさいには,その物質の生物学的反応性inertnessがもつとも重要な因子であると考えられる.従来の代用血管は組織反応が少ないものが選ばれ,この意味では生体にinertと考えられながら,血液に対しては異物として働くため血液成分の多少の破壊と血液凝固機転の刺激促進を伴い,したがつて従来の代用血管移植後には血液成分特にフィブリンの沈着が必ずみられることが知られている.現在までのところかかる意味において血液に対して完全にcompatibleな代用血管はまだ見いだされていない.
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