Japanese
English
論説
胸部大動脈疾患の手術成績
Operative results of the diseases of the thoracic aorta
上野 明
1
,
若林 明夫
1
,
丸山 雄二
1
,
粟根 康行
1
,
根本 〓
1
,
多田 祐輔
1
,
関 正威
1
,
村上 国男
1
Akira UENO
1
1東京大学医学部胸部外科教室
pp.61-67
発行日 1967年1月20日
Published Date 1967/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407204205
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はじめに
胸部大動脈疾患の外科的治療は,現在本邦の各施設において盛んにとりあげられ,その治療内容,成績も日進月歩の感はあるが,しかし血管外科領域の中では,まだきわめて問題の多い分野の1つであることに異論はないであろう.
衆知のように本邦の大動脈疾患には,四肢動脈同様に他国ではほとんど報告のみられないもの,すなわち,脈なし病,あるいは異型大動脈縮窄症など,現在では非特異性炎症性大動脈疾患の概念で把握されつつある型が,かなりの瀕度を占め,原因論的に治療的に,わが国の占める役割が重大であり,その結論は諸外国でも注目している以上外科としても慎重に手術術式を選び,またその予後を観察する要がある.また胸部の大動脈瘤は腹部のそれと異なり,遙かに治療上の難点があり,その手術適応,術式の選択には未解決の点が少なくない.今回,教室ではこの領域の手術例が60例を越えた点よりその直接,および遠隔成績を報告し,これらの問題点を論じて一般のご批判を乞いたい.
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