増刊号 わかりやすいエコー法の臨床
心エコー法
疾患と心エコー図異常
胸部大動脈疾患
松崎 益徳
1
,
友近 康明
1
1山口大学医学部・第2内科
pp.223-230
発行日 1991年10月30日
Published Date 1991/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402901148
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
●検査の手順
従来より,超音波法による胸部大動脈の描出には,経胸壁からのさまざまなアプローチが試みられてきた.しかし,とくに成人においては,胸骨,肋骨や肺組織などによりエコービームの進入が妨げられ,経胸壁からのアプローチでは胸部大動脈を明瞭に描出することは困難なことが多かった.近年,胸部大動脈と並走する食道からのアプローチ(経食道心エコー法)により,胸部大動脈疾患を正確に診断できるようになってきた.本方法を用いることで,胸部大動脈への超音波ビームを投入する際に障害となるものはなく,探触子のすぐそばに大動脈像を描出することができる.
経食道心エコー法より得られた胸部大動脈2方向断面像と記録部位のシェーマを図1に示す.本方法により,胸部大動脈の一部(上行大動脈の上部半分)を除きほぼ全体が明瞭に描出される.そのため,最近では胸部大動脈瘤,とくに,早期の正確な診断が必要である解離性大動脈瘤の疑われる患者には,たとえ急性期であろうとも,鎮静剤の投与下にベッドサイドでの経食道心エコー法が積極的に施行されるようになってきた.また,高周波の探触子の経食道心エコー法を行うことで胸部大動脈壁性状の詳細な観察が可能となり,動脈硬化病変のより早期の診断に有用である.本稿では,経食道心エコー法による胸部大動脈瘤の診断と,さらに胸部大動脈壁の動脈硬化性病変およびその血管特性の評価について述べる.
Copyright © 1991, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.