Japanese
English
論説
肝疾患の超音波診断—肝機能検査・組織像との比較
Ultrasonic diagnosis of Liver
萩原 貞二
1
,
菊池 由夫
1
,
河野 均也
2
,
久保田 裕
3
,
和賀井 敏夫
4
1伊豆逓信病院内科
2日大医学部病理
3国立沼津病院内科
4順大医学部外科
pp.627-633
発行日 1966年5月20日
Published Date 1966/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407203969
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
はじめに
今日,一般に肝疾患の診断に用いられている検査法としては,肝機能検査と,腹腔鏡,肝生検等の形態学的検査法とがあるが,肝疾患には明かな肝機能異常を前景にもつものと組織学的変化のみが著明で肝機能障害の極めて軽微なものとがあり,肝機能検査成績と形態学的所見との間に恒常的な開連性を見出すことはできない1)2)3)4)5).
元来,肝機能検査は,その大部分がいわゆるhepato—bihary system6)のactivityの反映であり,肝細胞変性そのものの表現と考えられるものではない.とくに,肝硬変の場合などのように,細胞変性の組織反応として,肝内に異常血行路が形成されるようになると,両者の関係は一層複雑となる.一方,現行の形態学的検査法には種々の実施上の制約が附随するは.たとえば肝生検によつて齎らされる情報は,肝臓の極めて限られた範囲の組織学的所見に過ぎないし,腹腔鏡の場合は肝実質内の変化が腹腔鏡の視野の範囲の肝表面に波及することが診断上の要約となる.
Copyright © 1966, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.