今月の主題 肝疾患
技術解説
肝疾患と肝組織内金属の検査
恩村 雄太
1
,
平間 元博
1
1北海道大学・第2病理
pp.251-258
発行日 1980年3月15日
Published Date 1980/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542915401
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生体に必須な金属も疾患時には大きな変動を来し,時にその疾患発症の主因あるいは誘因となることはよく知られている.一方,汚染金属例えば水銀,ウラニウム,タリウムなどは腎もしくは中枢神経系に,またカドミウム,ニッケルなどは肺組織にというように金属は比較的特定の臓器,組織に蓄積することが多い.
代謝の中心臓器である肝では,諸金属の影響は当然否定できないが,そのほとんどが鉄及び銅の代謝障害によるもので,鉄に関しては鉄症(Siderosis),ヘモクロマトーシス(Hemochromatosis),銅に関してはWilson病が代表的疾患として挙げられている.なお近年,ウイルス性肝炎,原発性胆汁性肝硬変症をはじめいろいろな場合に鉄,銅またはその複合体の異常蓄積の起こることが注目されている.
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