他科の意見
循環器疾患について外科への希望(2)
斎藤 十六
1
,
木川田 隆一
1
1千葉大学医学部第2内科
pp.260-262
発行日 1966年2月20日
Published Date 1966/2/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407203905
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Ⅲ.歯口科・耳鼻咽喉科方面の麻酔について
虚血性心疾患をもつヒトが,抜歯するとき,局麻薬に注意すべきことを専門の同僚から学んだ14).局麻薬のなかには,たいてい,アドレナリンがはいつている.それゆえ,多量を使えば,血圧はあがり,狭心痛がおこることもある.不注意にも,溶液が,たくさん脈管内にはいると,この危険は,かなり大きい.かような場合,内科がわでは,アドレナリンのような血管収縮薬をふくまない局麻薬を使つてほしいと思うことがある.しかし,外科がわの専門家は,脈管収縮の作用をもたない局麻薬などのうちには,満足すべきものが,ほとんどないことを知つている!Chamberlainは15),虚血性心疾患をもつヒトにも,1:50,000のわりでアドレナリン類を入れた2%のプロカインを,1ヵ所につき10mlまで使うことは,まず,危険がないといつている.アドレナリン類なしのプロカインを使えば,血管は拡張し,害作用を起こすに十分なほど,血行中に急にはいることもありえよう.不適当な麻酔によつて痛みがはげしければ,患者自身のアドレナリンが分泌される.こうして,患者は,プロカインとともにあたえられるよりも多いアドレナリン量の作用をうけることにもなる.lignocaine (lidocaine,xylocaine)類は,プロカインほどの血管拡張をおこさないが,それでも,1:100,000のわりあいでアドレナリンを加えることがある.
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