講座
外科領域における水分電解質の問題(2)
高藤 歳夫
1
1国立相模原病院外科
pp.263-266
発行日 1966年2月20日
Published Date 1966/2/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407203906
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外科患者にしばしばみられる脱水の状態を判定することは,重要であります.これには,理論的にいうと,身体の全水分量とともに細胞外液の測定が必要となります.しかしこれらを測定することは,実際問題として,日常どこででも行ない得ることではありません.そこで臨床的の所見として,まず問題とすべきものは,1日の尿量とその比重であります.すなわち脱水の状態においては,尿量は少なくて暗色を呈し,比重は高いのが常であります.Maddockらも,臨床的に大ざつぱにいつて,1日の尿量が500ccに近いものは,だいたい脱水状態と考えてよい,といつております.しかしこの場合に,腎機能について深い注意をはらわねばなりません.というのは,もし腎機能に障害があるならば,尿はその量のいかんにかかわらず,稀薄であつて比重も低く,蛋白を証明するからであります.渋沢らによれば,脱水において尿量が減少するのは,その血清にさらに抗利尿物質の濃度が高まつており,減尿は濾過率の低減によるのみでなく,さらに細尿管再吸収の亢進によると考えられるといつております.
この尿所見のほかに,血液検査の成績においては,非蛋白窒素の増加,クレアチニン濃度の上昇など,一連の変化が認められます.
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