Japanese
English
論説
解離性大動脈瘤の手術と予後に対する検討
Problems on Operative Technics and Prognosis of Dissecting Aneurysm
高橋 雅俊
1
,
工藤 武彦
1
,
古川 欽一
1
,
島崎 和郎
1
,
石井 定美
,
仲地 紀仁
Masatoshi TAKAHASHI
1
,
Takehiko KUDO
1
,
Kinichi FURUKAWA
1
,
Kazuo SHIMAZAKI
1
,
Sadayoshi ISHII
,
Norihito NAKAGI
1東京医科大学外科
1Department Surgery of Tokyo Medical College
pp.433-442
発行日 1965年4月20日
Published Date 1965/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407203572
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はじめに
診断技術の向上によつて動脈瘤の発見率も近年次第に増加の傾向を示している.従来保存的治療が行なわれていた大動脈瘤疾患にも,ここ数年来人工代用血管の移植術が行なわれるようになつたが,解離性大動脈瘤は真性のそれに較べて自然死亡率,手術予後の点でも不良である.この理由は胸部に好発する病変部がかなり大であること,時には胸腹部大動脈に亘つており,諸臓器に分岐する動脈血行を不良にしていることから,手術時の大動脈血流遮断で副血行路からの下半身血流が極めて減少するので侵襲がそれだけ増加すること,また,縦隔静脈叢との剥離も困難で,大きな解離性動脈瘤では不測にも心臓を圧迫して心調律に悪影響がみられることもある.その他,真性動脈瘤を含めての一般的なpoor riskは高齢,高血圧,換気機能の低下,血管の脆弱などが挙げられる.解離性大動脈瘤は病状の急激な発展が特長でありLevinson1)によれば36%は48時間以内に死亡,37%が3〜60日間に死亡,僅かに25%がいわゆる慢性解離性大動脈瘤(healed dissecting aneurysma)として生存してるにすぎないと云われており,その発症発作と経過が劇的で狭心症ならびに,ほかの疾患と誤診され易く,外科治療は無論のこと,本邦でも剖見後はじめて本症と診断した報告で,少なくない2)-12).
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