Japanese
English
外科の焦点
肝癌の外科的治療
Surgical treatment of the hepatic cancer
本庄 一夫
1
Ichio HONJO
1
1金沢大学医学部外科第2講座
pp.1447-1460
発行日 1964年11月20日
Published Date 1964/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407203461
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はじめに
肝癌の外科的治療の主体が肝切除にあることは昔も現在もかわりがない.肝臓の小部分の切除や左葉切除は,かなり以前から実施されていたようであるが.肝右葉切除が行なわれたのは1911年のWendel1)の例をもつて嚆矢とする.その後40年近くも右葉切除の報告に接しなかつたが,ようやくWendelの記載も文献上古典的と考えられるようになつた1950年,本庄2-3)は直腸癌の手術施行後2年にして発見された肝右葉への転移癌に対して肝右葉切除を実施し,術後1年以上生存した症例を報告した.当時は,未だ現在のように肝区域の概念がそれほど確立されていなかつたが,その術式は自ずから肝門部において,肝動脈,門脈ならびに胆管の右主枝を結紮し,経腹腔的操作のみで,現在中葉と呼称されている方形葉および尾状葉の一部を含めて肝右葉を切除している.
その後,1952年Lortat-Jacob4)が開胸腹切開法による肝右葉切除法を発表してから,Pack (1953年)5),Quattlebaum (1953年)6),Lorimer (1955年)7)らの肝悪性腫瘍に対する右葉切除成功例の報告がみられるようになつた.
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