外国文献
妊娠中の癌,他
pp.1460
発行日 1964年11月20日
Published Date 1964/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407203462
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妊娠間の乳癌(42),Hodgkin (20),肉腫(12),黒色腫(9),口腔舌癌(6)など97例の癌について,妊娠の癌に及ぼす影響,癌の妊娠に及ほす影響,胎児えの影響などをうかがつた.妊娠中の乳癌の進行が早いことは周知だが,妊娠中の乳癌の90%がhormone dependent (非妊では45%).42例のうち23例か癌死,19例が2〜28年生存.死亡23例のうち5年生存は3例のみ,他は3年以内死亡,年齢は生存率に関係なし.妊娠を中絶した14例では生存8,死6.中絶せぬ10例では生存2,死8であつた.したがつて妊娠5ヵ月までは中絶,その後は胎児の生存がのぞめるようになつた時期に帝王切開がよい.切開のとき卵巣剔除するか否かは別個に考える.炎症性癌,stage Ⅱ,Ⅲへの早い進行で根治がなかなか望めないが,治療法は根治術を目ざすべきだろう.妊娠中絶,照射療法でstage Ⅲが根治可能になること少からず.根治術12例中,5年内死6で,残る6例は5〜30年生存.乳癌手術後の妊娠は中絶,できれば予防したい.著者に8例の経験あり,妊娠で前の乳癌が再燃し急増悪した.リンホーマは妊娠で増悪はしないらしいが,慢性型が亜急性型に変ることもあるので,リンホーマ治療で静止し2〜3年する間は妊娠を防ぎたい.照射療法で胎児に傷害をおこし,cytotoxic agentで奇形が生れる危険がある.
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