検査と診断
慢性胃炎の内視鏡診断における問題点—胃カメラ,切除胃,生検による検討
城所 仂
1,2
,
竹添 和英
1,2
,
大原 順三
1,2
,
永井 正見
1,2
,
鵜川 四郎
1,2
,
寺田 良平
1,2
,
城島 嘉昭
1,2
,
八木 茂久
1,2
,
石藤 孝太郎
1,2
,
須川 暢一
1,2
Isao KIDOKORO
1,2
1東大分院外科教室
2東京大学
pp.1206-1212
発行日 1963年9月20日
Published Date 1963/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407203155
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慢性胃炎の問題について肉視鏡の立場から検討を加えたのはすでに古いことである.1944年Schindlerは胃以外の疾患による開腹例に対し,手術前胃鏡検査を行ない開腹時胃壁の試験切除を行なつて,正常および原発性慢性胃炎の胃鏡所見と組織所見とを対比している.
こうして慢性胃炎の3つの型すなわち表層性胃炎(chronic superficial gastritis),萎縮性胃炎(chro-nic atrophic gastritis)および肥厚性胃炎(chronic hypertrophic gastritis)についてそれぞれに詳細な病理組織学的所見の裏づけを行なつた.彼の業績はその著書「Gastroscopy」にまとめられ今日なお肉視鏡学者のバイブル的な存在となつている.これに対しては後日幾つかの矛盾が指摘されて来ているが,それはあく迄内視鏡の立場を主体とするか,組織学的な立場を主体とするかによる見解の相違であり,少なくとも内視鏡が表面の変化を問題とするのに対し慢性胃炎は深さをもつた変化であることが根本的に異なることを考えても,内視鏡所見と組織所見が厳密に一致するということは難かしい問題であつて今後なお年数をかけて解決さるべき問題であろう.
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