今月の主題 胃潰瘍〔2〕
症例
Ⅱc型早期胃癌の1例
城戸 仂
1
,
越川 宏一
1
,
竹添 和英
1
,
大原 順三
1
,
相馬 智
1
,
鵜川 四郎
1
,
瀬戸 律治
1
,
城島 嘉昭
1
,
後藤 一博
1
,
須川 暢一
1
,
山川 達郎
1
,
片柳 照雄
1
1東京大学分院外科
pp.469-475
発行日 1966年8月25日
Published Date 1966/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403112058
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Ⅰ.はじめに
近年,X線・内視鏡・細胞診ならびに生検など,胃検査法の画期的な進歩により,胃疾患診断学は飛躍的な発展を遂げ,古くからの課題であった胃癌の早期診断も,今日ではさほど困難なものでなくなりつつある.この趨勢の原動力となったものが,胃カメラの発達,普及であることは疑いのない事実である.すなわち,その検査手技の簡便さと鮮明なカラー写真の記録性とにより,胃癌の早期像の客観的な把握を可能にしたことは,X線検査とともにその診断学の体系化に大きく寄与してきた点で高く評価されなければならない.しかしその後症例の増加とともに,早期胃癌像の多様性が明らかにされ,殊に良性病変との鑑別困難な例の経験されるに及んで,細胞診や生検法などを加えた総合診断法の必要性が認識されて,今日の発展をみるに至った.ここに報告する症例は,陳腐なⅡc型の早期胃癌であるが,その発見から手術による確認までの過程を述べることにより,われわれが現在実施している胃疾患診断法の実態を明らかにしたい.
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