Japanese
English
論説
輸液の必要性
Necessity of fluid therapy as complement of blood transfusion
小出来 一博
1
Kazuhiro Kodeki
1
1順天堂大学第一外科
11st surgical department, Juntendo University, School of Medicine
pp.735-741
発行日 1963年6月20日
Published Date 1963/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407203093
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〔Ⅰ〕はじめに
輸血に関連した諸問題に付属して輸液の必要性について,総説的に述べよとのことであるが,輸液が外科方面で本格的に取り上げられたのは第二次大戦後である.その頃東大第二外科において,福田教授より「水分代謝の研究」というテーマを裁き,由来輸液—栄養輸液と研究を重ねてきた著者は,輸液の必要性ことに手術前後の輸液の必要性の認識の普及が,今日のごとき手術の安全性,適応の拡大をもたらした1つの原因と考える.
われわれが医局に入った終戦直後には,重症患者においてのみ,リンゲル氏液,ブドウ糖は使用されるものであり,一般患者には今日のごとく普遍的には輸液が行なわれていなかつた.併し外科領域における水分・電解質代謝を始め諸代謝の解明により,今日では輸液の必要性は最早常識となつているが, この細部に亘つてはなお問題がある.例えば輸液と経腸補給との問題—すなわち蛋白源であるアミノ酸は経皮的にやるか,経腸的にやるかの問題等は医師個人の嗜好によりなお議論の存するところである.
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