保険の話
保険診療の問題について(5-I.)
近藤 芳朗
1,2
1東京メリヤス健保組合診療所
2東大
pp.676-678
発行日 1963年5月20日
Published Date 1963/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407203086
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Ⅰ.緒言(立場・信条・論義の進め方)
「保険診療の問題点」という題目で,臨床外科医の参考になるようなことを書くようにとの編集者からの御依頼ですが,メスをとらざること15年,既に,外科医の資格はありません.その方面の詳しいことは,これから続々執筆されるであろう、実地外科医の方々に御願いしたい.私は終戦後18年間現在に至るまで一貫して開業して来た一般医(general praktioner)で常に地区医師会員,日本医師会員であり,しかも現在は日医の怨嗟の的たる健康保険組合の診療所の勤務医でさえもあります.その上,大学で病理学を少しく勉強させて頂いたため,学会の端くれにつながり,大学の教育,研究,という方,面にも少しくお手伝いをするという誠に一方に徹つすることのできない複雑な両棲動物のごとき立場から物を申しているということを御諒承願いたい,織畑教授ならびに中山教授は医学教育と研究という純大学畑からも物を申されていると解しますが,私も,アカデミー派,学術会議派としてレツテルつけられているようですが,実際は「血は水よりも濃し」立場が少し移行しています.大学付属病院また,官・公・私的大小病院,または都会から寒村に至る診療所の勤務開業を問わず,全実地臨床家の立場,すなわち全医人(なかんずく実地臨床医師)の最大公約数を表現したいと考えています.
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