保険の話・11
保険診療の問題点
菊地 真一郎
1
1日本医師会
pp.1428-1429
発行日 1963年11月20日
Published Date 1963/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407203205
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はじめに
「臨床外科」が健康保険問題をとりあげ,次々と各界の識者からそれぞれの立場においての意見を読者に伝え始めてから相当の日時がたつた.学術雑誌としての本誌が「保険の話」をとりあげねばならなくなつている現状は誠に悲しい.しかし正直のところ,この頁が真先によまれているのかも知れない.なぜか?もうその答えはすでにでつくしていると思う.私も街の外科医の一人として本誌を読んできたが,健康保険制度の悪いこと,医学医術の進歩をさまたげていること,審査委員会の横暴,低医療費の害毒等など……,いくらでも不平不満はでてくる.前々からの執筆者の意見は一つ一つ誠に涙ぐましいまでに真実を伝えている.果たしてこれを正面から受けとつて対策をたて,改善の責任を負うのは誰か?,厚生省?文部省?医師会?保険者群?…….否々,われわれ医師一人一人がその責任者であることを強調したい.本誌に発表された近藤芳朗氏の歴史的観察や,世界的医療制度の流れをいまさらのごとく読みかえしてオヤオヤと首をひねつている外科医諸君も少なくないであろう.また織畑秀夫氏の学問第一主義強行論にわが意を得たりとして,ニッコリした仲間も多かろう.過去30年以上もたつたわが国の健康保険医療の問題は,論じ始めたらいくらでもそのタネはつきない.
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