外国文献
広島の甲状腺疾患,他
pp.559-563
発行日 1963年4月20日
Published Date 1963/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407203072
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広島ABCCの報告には注目すべきものが少なくないか,本報もそのひとつで,近距離被爆,遠距離被爆,被爆なし等の5553名の調査(1958年7月より1959年10月).甲状腺疾患169例,うち152例は女子.このうち単純甲状腺腫もつとも多く,simple goiter 79, singlenodular 29, nontoxic multinodular 25となつた.♀8:♂1の比.広島には地方病性甲状腺腫はない.また食物中にgoitrogenを証明したのは1例にすぎない.家族的甲状腺腫は数例であつた.ヨード摂取量は正常者と変らない.多くは海に近く住居した.被爆距離との関係は2000m以内にやや多いが,有意差ではなかつた.甲状腺機能亢進症16例(♀13,♂3).頻度は低い.症状・経過は西欧のそれと異ならず.被爆とともにstormを呈した1例あり.被爆前すでに亢進症あつたもの4例あり.センターから1400m以内の被爆者が多いが,爆照自体が亢進症の直接原因とは思われぬ.甲状腺低機能症1,橋本甲状腺腫5.この数は日本全国の頻度より決して多くないが,なお,自家抗体の証明を被爆者について行なうべきであろう.single nodule 39例のうち生検を行なつた19例では,adenoma 8,腺癌8.single noduleは1400m以内の被爆者に有意に多い.
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