特集 手こずつた症例―私の経験した診断治療上の困難症(Ⅱ)
膵癌
本庄 一夫
1
,
宮崎 逸夫
1
1金沢大学
pp.877-881
発行日 1962年8月20日
Published Date 1962/8/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407202960
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膵腫瘍で診断治療上最も問題となるのは膵癌である.われわれは膵癌の手術適応の拡大に関し多少研究を行ないつつあるので,膵癌の症例と共に研究の結果も併せ述べ諸家の参考に供したい.
膵癌の早期診断は非常にむずかしいが,それは膵の解剖学的位置,膵癌の症状の非特異性,確実な検査法のないことなどによるもので,診断の遅延は膵癌の比較的速かな転移形成と相俟つて根治手術を困難ならしめ,殊に膵背面を走る門脈への炎症性癒着,癌性浸潤によつて膵と門脈とを剥離できない場合,膵癌の根治手術は諦めざるを得ない現状である.
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