特集 手こずつた症例―私の経験した診断治療上の困難症(Ⅱ)
膵壊死
調 来助
1
,
鳥越 敏明
1
,
麻生 弘之
1
,
手塚 博
1
1長崎大学
pp.872-876
発行日 1962年8月20日
Published Date 1962/8/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407202959
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急性膵炎および膵壊死はもともと予後不良の疾患で,奔馬性に発症した膵壊死では即時に手術しても間もなく死亡する例が多いので,たとえ不幸の転帰をとつても面目を失するようなことは少ないが,膵炎から腹膜炎に移行したものには兎角手こずらされ勝である.
私の教室で終戦後に取扱つた膵炎および膵壊死は総数25例であるが,これを分類すると,比較的軽い膵浮腫程度のものが10例,急性膵壊死と診断された中等症が6例,重症4例,化膿性膵炎5例で,膵浮腫では診断確定のため試験開腹を行なつたものが4例あつたが,他は尿ジアスターゼ(以下D)の値を指標として保存的に治療し,全例が治癒した.中等症6例は全て開腹して網嚢にドレン(私は好んでシガレットドレンを用いる)を挿入したが,これも大過なく治癒せしめ得た.
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