特集 手こずつた症例―私の経験した診断治療上の困難症(Ⅱ)
縦隔腫瘍
葛西 森夫
1
,
寺沢 懿徳
1
,
星野 文彦
2
1東北大学
2東北大学放射線科教室
pp.805-810
発行日 1962年8月20日
Published Date 1962/8/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407202950
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手術または剖検によらずに縦隔腫瘍の種別を確定することは通常困難であり,一般に胸部レ線写真上腫瘍陰影の形と位置から比較的発生頻度の高いものを予想し得るのみであるが,縦隔に腫瘍が発生していることは胸部レ線単純撮影のみでも容易に知り得るものが多い.縦隔腫瘍以外の疾患で鑑別を要するものでは,縦隔内の他の疾患,特に大血管,心臓に関係するものと肺疾患が最も重要である.良性縦隔腫瘍とこれら疾患との鑑別は多くの場合困難でないが時には他の疾患と誤診されて長い間無駄な治療をされている例も少なくない.次に示す症例はその意味で示唆に富む症例と思われる.
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